全長寺 (宇納間地蔵)
宮崎県 東臼杵郡 宮崎県東臼杵郡美郷町北郷区宇納間1
由緒
ふむ、全長寺(宇納間地蔵)の由緒について語ってやろうかの。吾輩がこの地で永き時を過ごしてきた白狐であるぞ。 全長寺は、宮崎県東臼杵郡美郷町北郷区宇納間1にひっそりと佇む寺院じゃ。いつからここに根を下ろしているのかは、人間たちの記録には残っておらぬようじゃが、吾輩の記憶によれば、遥か昔からこの地の信仰の中心として、確かに存在しておったのじゃ。ご本尊は宇納間地蔵尊。このお方が、子授け、安産、そして子育てに並々ならぬご利益をお持ちであることは、この地の者ならば誰もが知るところじゃな。遠方からも、切なる願いを抱えた人間たちが、ひっきりなしに訪れるのであるぞ。 かつて宇納間地区は、深い山間に閉ざされ、交通の便もままならぬ僻地であった。故に、地蔵尊は、この地で生きていく者たちの、苦難を乗り越えるための唯一の心の拠り所であったのじゃ。特に、我が子を健やかに育てたいと願う親たちの、その切実な思いが、地蔵信仰をより一層深く、この地に根付かせたのであろうな。 江戸の世には、この地蔵尊の不思議な霊験が、広く知れ渡るようになったものじゃ。近隣の藩主までもが、その威徳にひれ伏し、信仰を集めたという記録も残っておる。明治の御代、神仏分離という大きな荒波が押し寄せた時も、この地の人間たちの地蔵尊への揺るぎない信仰心によって、その存在はしっかりと守られたのじゃ。そして今日まで、大切に、大切に受け継がれてきたのであるぞ。 今もなお、毎年行われる大祭には、数多の人々が集い、この地に深く根ざした信仰が、確かに息づいておる。全長寺は、宇納間地区の歴史と文化を語る上で、決して欠かすことのできぬ、まことに重要な存在であり続けているのじゃ。