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kuro shima tenshudou ( katorikku kuro shima kyoukai )

Nagasaki 佐世保市 nagasakiken saseboshi kuro shima machi 3333

History

ふむ、吾輩が語ってやろうかの。 この黒島天主堂(カトリック黒島教会)とやら、吾輩がこの地に降り立った頃には、まだ影も形もなかったのじゃ。しかし、その礎となったのは、とてつもなく熱い信仰心であったぞ。 遙か昔、江戸の世には「キリスト教」という異国の信仰は固く禁じられておった。じゃが、この黒島には、その禁を破り、ひそかに信仰の火を灯し続けた者たちが多く移り住んでおったのじゃ。彼らは「潜伏キリシタン」と呼ばれ、厳しい弾圧に耐え忍び、血脈ならぬ信仰の血脈を絶やすことなく受け継いできたのであるぞ。 そして明治の世となり、ようやく禁教の枷が解かれると、彼らは隠れてきた信仰を公に表明できるようになった。その喜びと、長きにわたる苦難の末に得た自由を象徴するかのように、この天主堂の建設が始まったのじゃ。フランス人宣教師マルマン神父の導きと、信徒たちの並々ならぬ熱意が一つとなり、実に十年もの歳月をかけて、この壮麗な建物は姿を現したのである。 見よ、このレンガ造りの重厚なロマネスク様式を基調としつつ、内部はリブ・ヴォールト天井や煌びやかなステンドグラスが美しいゴシック様式を取り入れておる。特に目を引くのは、二四種類もの異なる文様を持つ椿の木でできた床板じゃな。そして、この建物を彩るレンガの多くは、信徒たちが自らの手で焼き上げたものだと聞く。彼らの献身的な努力と、並々ならぬ技術が随所に凝縮されておるのであるぞ。 この天主堂は、潜伏キリシタンの苦難に満ちた歴史と、彼らが信仰を公にした後の共同体の発展を雄弁に物語る、実に貴重な建築物である。その歴史的、文化的な価値は計り知れず、二〇一八年には「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つとして、世界文化遺産にも登録されたのじゃ。今もなお、この黒島の信仰の中心として、そして多くの人々が訪れる場所として、大切に守られ続けておるのであるぞ。吾輩も、この地の歴史の証人として、永きにわたり見守っていこうかの。