「縁結びの神様」大国主大神を祀る出雲大社は、伊勢神宮と並び称される日本最古の神社のひとつだ。旧暦10月(神在月)に全国の神々が出雲に集まるという伝承は今も生きており、毎年11月には神在祭の厳粛な神事が続く。出雲大社そのものは多くの旅行者が訪れるが、その周辺には国宝の本殿を持つ神魂神社、えびす様の総本社・美保神社、古代日本の面影を留める須佐神社など、個性豊かな神社が点在している。御朱印の観点から見ても、出雲大社の四種(八足門・御本殿・神楽殿・氏社)から、縁結びの神話が生きる八重垣神社のユニークな御朱印まで、バリエーション豊かな一体が揃う。この記事では出雲エリアで御朱印がいただける神社10選を厳選し、御朱印の特徴・授与情報・参拝コースを紹介する。
1. 出雲大社(出雲市大社町杵築東)

ご祭神: 大国主大神
創建の年代は神代に遡り、「古事記」「日本書紀」に記される大国主大神が国譲りの見返りとして社殿を築かせたと伝わる。現在の御本殿は延享元年(1744年)の造営で、高さ約24メートルの大社造建築は国宝に指定されている。旧暦10月の神在月には全国から八百万の神々が集まり、縁結び(人と人の縁のみならず、仕事・健康など万縁)を司る会議が行われるという信仰が今も息づいている。参拝の際は「二礼四拍手一礼」(他神社の二礼二拍手一礼と異なる)の作法に注意が必要で、この独自の礼拝方式そのものが出雲大社の格式を示す。境内は約13万平方メートルに及び、神楽殿の大注連縄(長さ約13メートル・重さ約5トン)は日本最大規模を誇る。
- 御朱印の特徴: 四種の御朱印を授与(八足門・御本殿・神楽殿・氏社)。「縁結び大神」の墨書きと大社独自の印章が並ぶ格調ある一体。限定御朱印は神在祭など主要祭典時に頒布される
- 初穂料: 各500円
- アクセス: JR出雲市駅からバス「正門前」下車すぐ(約25分)。一畑電車「出雲大社前駅」から徒歩約10分
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 8:30〜17:00 |
| 授与場所 | 各授与所(八足門・神楽殿) |
| 書き置き/直書き | 直書き(混雑時は書き置き) |
| 限定御朱印 | あり(神在祭・大祭礼) |
2. 日御碕神社(出雲市大社町日御碕)

ご祭神: 天照大神(日沉宮・下の宮)・素盞嗚尊(神の宮・上の宮)
「伊勢の神宮が日本の昼を守るならば、日御碕神社は夜を守る」という伝承を持つ。出雲大社から西へ約8キロ、日本海を望む断崖の上に朱塗りの社殿が建ち並ぶ光景は出雲を代表する絶景のひとつだ。上の宮(神の宮)に素盞嗚尊、下の宮(日沉宮)に天照大神を祀るという珍しい配置で、天照大神が宮外(海沿い)に鎮座する神社は全国でも極めて珍しい。社殿群は寛永21年(1644年)に徳川幕府第3代将軍・徳川家光の命で造営された権現造りで、国の重要文化財に指定されている。境内に隣接する「ウサギ岩」や、すぐ近くの日御碕灯台(石造灯台として東洋一の高さ)とあわせて参拝するルートが定番。
- 御朱印の特徴: 「日沉宮」と「神の宮」の二種を授与。朱色の社殿を象徴するような朱印章と端正な墨書きの組み合わせ。「日の沉む国の宮」の文字が刻まれた御朱印は参拝者に人気が高い
- 初穂料: 各500円
- アクセス: 出雲大社前からバス「日御碕」下車すぐ(約20分)。出雲大社から車で約15分
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 9:00〜17:00 |
| 授与場所 | 社務所 |
| 書き置き/直書き | 直書き・書き置き両対応 |
| 限定御朱印 | あり(大祭・季節限定) |
3. 万九千神社(出雲市斐川町併川)
ご祭神: 万九千言主大神・神産巣日神
神在月の神議(かみはかり)を終えた全国の神々が最後に集まり、直会(なおらい)を行ってそれぞれの国に帰るとされる「神等去出祭(からさでさい)」の舞台。出雲大社の神在祭が有名な一方、神々の「送り出し」を担う万九千神社は地元の信仰が篤い。旧暦11月26日に行われる神等去出祭では神職が「お立ち」の声を三回発して神々の退場を告げ、境内の空気がひときわ引き締まる。境内は質素だが、縁結びの神々の「会議の最終日」の舞台として、神在月のみならず年間を通じて参拝者が訪れる。数年前に新たに整備された授与所と御朱印の体制が整い、近年は御朱印目的の参拝者も増加している。
- 御朱印の特徴: 「万九千神社」の墨書きに、神々が集まる様子を象徴する印。神在月の時期には特別印が加えられた限定御朱印も頒布される
- 初穂料: 500円
- アクセス: JR荘原駅から徒歩約15分。出雲市駅から車で約20分
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 9:00〜16:00(変動あり) |
| 授与場所 | 授与所 |
| 書き置き/直書き | 書き置き中心 |
| 限定御朱印 | あり(神在月・神等去出祭) |
4. 須佐神社(出雲市佐田町須佐)
ご祭神: 素盞嗚尊(須佐之男命)
出雲の奥地、仁多郡方面へ向かう山あいに鎮座する「須佐之男命の終焉の地」。スサノオが出雲を巡り歩き、最後に「この国は良い国だ」と言って自らの名を残したと伝わる聖地で、各地の「須佐神社」の総本社的存在とされる。樹齢1300年とも伝わる御神木(杉)が本殿の背後に聳え、その巨大さと霊気が独特の雰囲気をつくっている。境内の末社「塩井」は、スサノオが海水を運んで清めたとされる霊泉で、今も潮の香りがすると言い伝えられる。山深い立地のため交通手段が限られるが、その分だけ純粋な信仰の場としての空気を保っており、パワースポットとして全国から参拝者が訪れる。
- 御朱印の特徴: 「須佐神社」の力強い墨書きに、スサノオゆかりの剣と稲妻をモチーフにした印章。「出雲の風土記」に記される最古の神社のひとつにふさわしい風格
- 初穂料: 500円
- アクセス: JR出雲市駅から一畑バスで約50分「須佐」下車。または車で約40分(山間部のため要注意)
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 9:00〜17:00 |
| 授与場所 | 社務所 |
| 書き置き/直書き | 直書き・書き置き両対応 |
| 限定御朱印 | あり(例大祭) |
5. 熊野大社(松江市八雲町熊野)
ご祭神: 加夫呂伎熊野大神(素盞嗚尊)
出雲国一宮のひとつで、出雲大社と並び称される格式を持つ。「延喜式」神名帳において出雲国唯一の「名神大社」に列せられた古社で、古代の出雲国では出雲大社より高い格式を持っていたとする説もある。社伝では、スサノオが八岐大蛇を退治したあと鎮座したとされ、「日本火出初之社(ひのもとほいぞめのやしろ)」の別名を持つ。毎年10月には出雲大社と熊野大社の間で「鑽火祭(きりびさい)」が行われ、熊野大社から出雲大社へ神聖な火を届ける神事が続く。境内の「亀の甲羅で占いをする」という独特の占術(亀卜)も知られ、稀にその体験が一般公開される。
- 御朱印の特徴: 「熊野大社」の重厚な墨書きに、出雲国一宮の格式を示す印章と火打石・亀のモチーフ。出雲大社とセットで参拝する「出雲二大社めぐり」が近年人気
- 初穂料: 500円
- アクセス: JR松江駅からバス「熊野大社」下車(約40分)
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 9:00〜17:00 |
| 授与場所 | 社務所 |
| 書き置き/直書き | 直書き |
| 限定御朱印 | あり(鑽火祭・神在祭) |
6. 八重垣神社(松江市佐草町)

ご祭神: 素盞嗚尊・稲田姫命(奇稲田姫命)・大己貴命・青幡佐久佐日古命
八岐大蛇から稲田姫を守るためにスサノオが築いた「八重垣」に由来する神社で、縁結びのご神徳が特に篤い。境内の「天鏡池(稲田姫の鏡の池)」で行う「紙占い」は全国的に有名で、池に半紙を浮かべ、和紙に書かれた文字が浮き上がり、紙が沈む速さと占い文の意味で縁結びの吉凶を知るというユニークな作法が多くの参拝者を惹きつけている。杜の中に佇む境内には縁結びに関連した末社が点在し、「椿の花が降り積もる中を参拝する」春の景観も知られている。松江市中心部から近く、出雲大社・神魂神社とあわせた「出雲縁結び三社めぐり」の核となる神社だ。
- 御朱印の特徴: 「八重垣神社」の墨書きに稲田姫と八重垣をモチーフにした印章。縁結びを祈願する参拝者に特に大切にされる一体で、ハート型のモチーフが入る限定版も人気
- 初穂料: 500円
- アクセス: JR松江駅から一畑バス「八重垣神社」下車(約20分)
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 9:00〜17:00 |
| 授与場所 | 社務所 |
| 書き置き/直書き | 直書き・書き置き両対応 |
| 限定御朱印 | あり(縁結び祈願際・季節限定) |
7. 神魂神社(松江市大庭町)

ご祭神: 伊弉冊大神(イザナミ)・伊弉諾大神(イザナギ)
「神魂」は「かもす」と読む。現存する大社造建築の中で最古とされる本殿は国宝に指定されており、室町時代(1346年)の造営とされる。大社造の本殿としては出雲大社よりも古い建築様式を保存しており、建築史上きわめて重要な遺構だ。静かな森の中の丘に鎮座しており、境内は質素だが歴史の重さを全身で感じる場所。「出雲国風土記」に「神魂神」として記される古社で、かつては出雲国造家の祖神を祀る氏神的存在でもあった。大庭の森に包まれた参道を歩いてくると本殿が突然視界に現れる劇的な構成も印象的。
- 御朱印の特徴: 「神魂神社」の落ち着いた墨書きに国宝社殿を象徴する古雅な印章。現存最古の大社造を参拝した記念として、建築好きからも特別視される一体
- 初穂料: 500円
- アクセス: JR松江駅からバスまたはタクシーで約20分(バス停「大庭」から徒歩約20分)
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 9:00〜17:00(無人の場合あり) |
| 授与場所 | 授与所(常駐日は限られる) |
| 書き置き/直書き | 書き置き中心(直書きは常駐時のみ) |
| 限定御朱印 | あり(例大祭) |
8. 美保神社(松江市美保関町美保関)

ご祭神: 三穂津姫命・事代主神(えびす様)
全国約3400社のえびす神社の総本社で、商売繁盛・大漁・縁結びのご神徳で知られる。「えびす様」として親しまれる事代主神は大国主大神の御子神であり、出雲大社(父神)と美保神社(御子神)をセットで参拝する「えびすだいこく両参り」が古来の習慣として今も受け継がれている。美保神社は松江市美保関、大山隠岐国立公園の美保湾に面した漁師町に鎮座しており、日本海の潮風と漁港の佇まいが独特の情緒をつくる。本殿は江戸時代中期の大社造変形様式(美保造)で国の重要文化財。境内では毎年4月7日に「諸手船神事」(2艘の手漕ぎ船が競い合う神事)が行われ、国の重要無形民俗文化財にも指定されている。
- 御朱印の特徴: 「美保神社」の墨書きに事代主神ゆかりの釣竿・鯛・鰹節をモチーフにした印章。えびす様らしい福福しい一体で、「えびすだいこく両参り」の証明印としての役割も担う
- 初穂料: 500円
- アクセス: JR松江駅から一畑バス「美保関」行き終点(約50分)、または境港から渡船で美保関へ
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 9:00〜17:00 |
| 授与場所 | 授与所 |
| 書き置き/直書き | 直書き |
| 限定御朱印 | あり(諸手船神事・季節限定) |
9. 佐太神社(松江市鹿島町佐陀宮内)
ご祭神: 佐太大神(猿田彦命)・天照大神・素盞嗚尊・伊弉諾大神・伊弉冉大神・速玉男命・事解男命
「出雲国風土記」に「佐太御子社」として記される出雲国二宮(一説には出雲国内で出雲大社に次ぐ格式を持つ古社)。三棟の本殿が横一列に並ぶ独特の「三社殿」形式(大社造)は国の重要文化財で、かつての出雲の古建築を今に伝える。神在月の神在祭は出雲大社が有名だが、佐太神社でも「神在祭」として厳粛な神事が執り行われており、神在月を「佐太神在」と「出雲神在」の二つで体感するルートも設定できる。「佐太神楽」は奈良時代から続くとされる古神楽で、国の重要無形民俗文化財に指定されている。
- 御朱印の特徴: 「佐太神社」の堂々とした墨書きに三社殿を象徴する印章と「出雲二宮」の格式を示す印。神在月には特別な印が加えられた御朱印が授与される
- 初穂料: 500円
- アクセス: 一畑電車「松江しんじ湖温泉駅」からバス「佐太神社前」下車(約30分)
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 9:00〜17:00 |
| 授与場所 | 社務所 |
| 書き置き/直書き | 直書き |
| 限定御朱印 | あり(神在祭・佐太神楽奉納) |
10. 玉作湯神社(松江市玉湯町玉造)
ご祭神: 玉湯彦命・大名牟遅命(大国主大神の別名)・少彦名命
玉造温泉の氏神として鎮座する古社。「日本書紀」にも記される玉作りの技術(勾玉・めのう)と温泉信仰を一体に持つ稀有な神社で、「願い石」として知られる霊石が御神体に触れた後、自分の願い事を書いた紙に石を重ねて祈ると願いが叶うと伝わり、縁結びを祈願する若い参拝者に人気がある。玉造温泉は美肌の湯として知られ、宿泊の前後に参拝するスタイルが定着している。境内に隣接する「温泉の源泉」や「曲玉の展示室」も見どころで、出雲路の旅のひとつのアクセントになる。
- 御朱印の特徴: 「玉作湯神社」の墨書きに勾玉・温泉の湯気をモチーフにした印章。「美肌の湯」と縁結びの神様の神社にふさわしい優雅な一体
- 初穂料: 500円
- アクセス: JR玉造温泉駅から徒歩約15分、または松江駅からバス「玉造温泉」下車徒歩5分
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 9:00〜17:00 |
| 授与場所 | 社務所 |
| 書き置き/直書き | 直書き・書き置き両対応 |
| 限定御朱印 | あり(縁結び祈願祭・季節限定) |
参拝モデルコース
1日コース(出雲市集中)
出雲大社(2〜3時間)→ 日御碕神社(1時間)→ 万九千神社(30分)→ 須佐神社(要車・1時間)
2日コース(出雲・松江エリア)
1日目: 出雲大社 → 日御碕神社 → 須佐神社 → 熊野大社
2日目: 八重垣神社 → 神魂神社 → 佐太神社 → 玉造温泉泊(玉作湯神社)→ 美保神社
神在月(11月)コース
神在祭(出雲大社)→ 万九千神社(神等去出祭)→ 佐太神社(神在祭)の3社を神事日程にあわせて参拝するルートが最も特別な体験になる。
御朱印めぐりのコツ
車移動が基本: 出雲市内はバスが通るが、須佐神社・神魂神社など公共交通が不便な神社が多い。レンタカーの利用を推奨する。
神在月(11月)は要注意: 旧暦10月(新暦11月ごろ)の神在祭期間中は境内が混雑し、御朱印授与に時間がかかる。早朝参拝が望ましい。
えびすだいこく両参り: 出雲大社と美保神社の両参りは縁起が良いとされ、御朱印コレクターの間でも定番のルート。一日で回るには車が必要だが、距離は約70キロ。
神魂神社の社務所在宮: 神魂神社は無人になることがある。御朱印を確実に授与するには、事前に松江観光協会や同神社の情報を確認すること。
画像クレジット
- 出雲大社拝殿: Saigen Jiro, CC0, via Wikimedia Commons
- 日御碕神社楼門: Naokijp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
- 八重垣神社: Monado, CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons
- 神魂神社本殿扉: Naokijp, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
- 美保神社: SNHRRN, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons


