神社建築

鳥居の種類と意味|明神鳥居・神明鳥居・両部鳥居の見分け方

目次

神社に足を運ぶと、まず目に入るのが鳥居だ。朱色、白木、石――形も素材もさまざまだが、多くの人はそのまま潜り抜けて境内へ向かう。

だが、鳥居には種類がある。形を見れば、その神社がどんな神を祀り、どんな歴史を歩んできたかが見えてくる。


鳥居とは何か

鳥居は神域と俗界の境界を示す門だ。ここから先は神の領域であると告げる結界のようなものである。

語源には諸説ある。「通り入る」が転じたという説、天照大御神が天岩戸に隠れた際に鶏を止まらせた木(鳥の居る木)に由来するという説が代表的だが、確定はしていない。

基本的な構造を押さえておこう。最上部の横木が笠木(かさぎ)、その下にある横木が島木(しまぎ)。二本のを横に貫くのが(ぬき)。笠木と貫の間、中央にある板が額束(がくづか)で、ここに神社名が掲げられることが多い。

この構造の違いが、鳥居の種類を分ける鍵になる。


神明鳥居(しんめいとりい)

伊勢神宮内宮の宇治橋前に立つ神明鳥居。直線的で簡素な構造が特徴

鳥居の最古の形とされる。特徴は一言でいえば直線と簡素だ。

笠木は丸太のまま水平に載せられ、反りがない。島木もなく、額束もない。柱はまっすぐ垂直に立ち、貫も柱の外に突き出さない形式が多い。装飾を一切排した、引き算の美学がそこにある。

代表は伊勢神宮。天照大御神を祀る日本最高峰の聖地にふさわしく、素木(しらき)のまま塗装もしない。20年に一度の式年遷宮で建て替えられるため、常に木の清浄さを保っている。

天照大御神を祀る神社、皇室ゆかりの神社に多く見られる。素材は木が基本で、飾らない姿にこそ神聖さが宿るという神明系の思想が表れている。


明神鳥居(みょうじんとりい)

春日大社の二の鳥居。笠木の両端が反り上がる明神鳥居の典型的な形

日本で最も数が多い鳥居がこの明神鳥居だ。街中の神社で見かける鳥居の大半はこの系統に属する。

神明鳥居との最大の違いは笠木の反り。両端がゆるやかに上向きに反り上がり、その下に島木が重なる。額束があり、貫は柱の外に突き出す。全体として曲線的で華やかな印象を与える。

朱塗りが多いのもこの系統の特徴だ。特に稲荷神社では鮮やかな朱色の明神鳥居が並び、稲荷の代名詞的な景観をつくり出している。

派生形も豊富で、柱の上に台輪(だいわ)を載せた台輪鳥居は稲荷系に多い。八幡神社に見られる八幡鳥居、春日大社に見られる春日鳥居なども、広義には明神系に分類される。


両部鳥居(りょうぶとりい)

海上に立つ厳島神社の両部鳥居。四本の控柱が主柱を支える堂々たる姿

主柱2本の前後に控柱(ひかえばしら)4本を配した、堂々たる構造を持つ鳥居だ。計6本の柱が海上や軟弱な地盤でも自立できるよう設計されている。

最も有名なのは厳島神社の海上鳥居。満潮時に海面から朱色の鳥居がそびえ立つ姿は、日本三景の一つに数えられる景観だ。

「両部」の名は密教に由来する。金剛界と胎蔵界、二つの世界(両部)を表し、神仏習合の時代に生まれた形式であることを物語っている。明治の神仏分離を経てもなお各地に残り、日本の宗教が単純な二分法では語れない歴史を持つことを静かに伝えている。


その他の鳥居

千本鳥居

伏見稲荷大社の千本鳥居。朱色の鳥居が連なるトンネルのような参道

伏見稲荷大社の千本鳥居は、世界的に知られる日本の象徴的な光景だ。

朱色の鳥居が隙間なく連なり、トンネルのような参道を形成する。これらの鳥居は信者や企業が奉納したもので、願いが「通る」ように、あるいは「通った」お礼として建てられる。鳥居の裏側を見ると、奉納者名と日付が記されている。

実際には約1万基が稲荷山全体に並んでおり、「千本」は控えめな数字だ。

石鳥居

山形県の元木の石鳥居。日本最古級の石造鳥居で、風雪に耐えた重厚な佇まい

木造鳥居は美しいが、風雨に弱い。石鳥居はその耐久性の問題を解決した形式だ。

山形県山形市にある元木の石鳥居は、平安時代後期の建立とされる日本最古級の石造鳥居。約900年の風雪に耐えた姿には、木造にはない重厚さと風格がある。

時代を経るにつれ、鳥居の素材は石、銅、鉄、コンクリートへと多様化した。靖国神社の大鳥居は鋼管製、平安神宮の大鳥居は鉄筋コンクリート製だ。素材は変わっても、神域の入口を示すという機能は千年以上変わっていない。


鳥居の色と意味

鳥居の色は単なるデザインではない。それぞれに意味がある。

  • 朱色 — 最も鮮烈な色。朱(丹)には魔除けの力があるとされ、生命力の象徴でもある。稲荷系をはじめ明神系の神社に多い
  • 白木(素木) — 塗装をしない自然のままの木肌。神明系に多く、人の手を加えない清浄さを表す。伊勢神宮が代表格
  • 石の灰色 — 素材そのものの色。人工的な着色を排し、年月とともに苔むして風格を増す
  • — まれだが存在する。箱根神社の湖上鳥居など、朱色と対をなす形で使われることがある

鳥居の比較表

種類笠木の形控柱代表的な素材代表神社
神明鳥居直線・丸太なし素木伊勢神宮
明神鳥居反り上がりなし朱塗り木・石各地の稲荷神社
両部鳥居反り上がりあり(4本)木・朱塗り厳島神社
鹿島鳥居直線なし鹿島神宮
三輪鳥居明神型脇鳥居2基大神神社

鳥居を見るポイント

参拝時に以下の4点を確認するだけで、鳥居の種類はほぼ判別できる。

  1. 笠木が直線か曲線か — 直線なら神明系、反りがあれば明神系
  2. 控柱があるか — あれば両部鳥居。なければ他の系統
  3. 素材と色 — 素木なら神明系の可能性が高い。朱塗りなら明神系、特に稲荷系
  4. 額束の文字 — 神社名や祭神名が刻まれていることが多く、祀られている神のヒントになる

たったこれだけで、鳥居は「ただ潜るもの」から「読むもの」に変わる。


御朱印と鳥居

御朱印のデザインに鳥居が描かれることは珍しくない。伏見稲荷大社の御朱印には千本鳥居が、厳島神社の御朱印には海上鳥居がモチーフとして登場する。

鳥居の種類を知っていると、御朱印に描かれた鳥居がなぜその形なのか、なぜその色なのかが読み取れるようになる。一枚の紙に押された印の中に、神社の歴史と信仰が凝縮されているのだ。

次の参拝では、鳥居の前で一度立ち止まってみてほしい。笠木の線、柱の太さ、木肌の色。それだけで、その神社の物語が少し見えてくるはずだ。


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画像クレジット:神明鳥居 — MaedaAkihiko撮影(CC0)、Wikimedia Commons|明神鳥居 — Zairon撮影(CC BY 4.0)、Wikimedia Commons|両部鳥居 — JordyMeow撮影(CC BY-SA 3.0)、Wikimedia Commons|千本鳥居 — Basile Morin撮影(CC BY-SA 4.0)、Wikimedia Commons|石鳥居 — Suz-b撮影(CC BY-SA 3.0)、Wikimedia Commons|大鳥居(ヒーロー) — Zairon撮影(CC BY-SA 4.0)、Wikimedia Commons

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