渋谷109から徒歩7分。ファッションビルと居酒屋が並ぶ道を歩いた先に、突如として石段が現れる。登りきると、騒音が消える。金王八幡宮(こんのうはちまんぐう)──1092年(寛治6年)創建、渋谷の地名の起源となった神社だ。
2026年の例大祭は9月14日(日)の正式祭典と9月19日(土)・20日(日)のにぎわい行事の二段構えで執り行われる。
渋谷の発祥地という事実
「渋谷」という地名は、この神社と切り離せない。
1092年、武将・渋谷重国(後に「渋谷氏」の祖)がこの地に八幡神を勧請したのが創建の始まりだ。渋谷氏はその後、現在の神社周辺に渋谷城を築いた。城は現存しないが、金王八幡宮の境内には今も渋谷城の礎石が残されている。
「渋谷」という地名は渋谷氏から生まれた。つまり今、日本有数の繁華街として知られる「渋谷」という言葉の源流は、この神社の氏子だった武家にある。
金王丸の伝説
神社名の「金王」は、**金王丸(こんのうまる)**という平安末期の武士に由来する。
渋谷重家夫妻が子宝を授かるべく八幡宮に祈り続けたところ、八幡神の霊夢を見て1141年(永治元年)に生まれたのが金王丸だ。17歳で源義朝に仕え、保元の乱(1156年)に出陣。その後出家して「土佐坊昌俊」と称し、源頼朝とも深く関わった人物だ。
金王丸の名は武者絵の題材にもなり、江戸期には浮世絵にも描かれた。神社の収蔵品にはその関連資料が保管されている。
徳川家との縁──春日局が建てた社殿
現在の本殿(東京都渋谷区指定文化財)は、1633年(寛永10年)に3代将軍徳川家光の乳母春日局と守役の青山忠俊が建立したものだ。
春日局が家光の縁を結んだ神社として江戸期に篤い信仰を集め、社殿は400年近く経た今も境内に現存する。繁華街の中に存在する江戸時代初期の建築物として、都市の中の時間の歪みのような存在感がある。
例大祭の二段構え
金王八幡宮の例大祭は、正式祭典と公開行事が分かれている点が特徴だ。
9月14日(月)── 例祭
午前11時から境内で正式な例祭が執り行われる。宮司以下の神職が祝詞を奏上し、氏子代表が参列する。一年のうち最も重んじられる祭典で、境内外への立ち入りは可能だが、神事そのものは厳粛な空間で進む。
9月19日(土)・20日(日)── にぎわい行事
週末の2日間は参拝者向けの行事が境内と周辺で展開される。
| 行事 | 概要 |
|---|---|
| 子供縁日 | 境内と子供公園に屋台・縁日出店 |
| 未来縁日 | 駐車場を使った現代的なマーケット出店 |
| 神輿渡御 | 日曜午後14時頃、表参道・道玄坂109前を神輿行列が通過 |
神輿行列は表参道(青山地区)と道玄坂(渋谷地区)の2ルートで行われる。109前での渡御は、渋谷という土地の新旧の対比が際立つ光景だ。約1000年前の神社の神輿が、ファッションビルの前を通る。
御朱印について
通常の御朱印は授与所で随時いただける(書き置きが基本)。
2026年は**夏限定の「しあはせ御朱印」**も頒布されている(頒布期間・初穂料は公式SNSで要確認)。例大祭期間中の限定御朱印については、過去年に頒布実績があるため、9月上旬の公式情報を確認したい。
授与所の受付時間は9:00〜17:00。
参拝のポイント
- 神輿行列(9月20日 14時頃) は事前予告なく経路が変わる場合がある。公式SNS(@konno_hachimangu)で直前情報を確認
- 境内は渋谷駅から徒歩7分(宮益坂を上った先、東口方面)だが、Google マップで「金王八幡宮」と検索すると旧住所が出る場合があるため注意
- 本殿の彫刻は区指定文化財であり、間近に見ることができる。平日は人が少なく、落ち着いて観察できる
- 境内にある「渋谷城の礎石」は案内板がなければ見落としやすい。鳥居をくぐって左手の一角を確認
東京都内の八幡系神社を含む御朱印情報は東京で御朱印がいただける神社30選にまとめてある。
情報ソース:
画像: Chōzuya at Konno-hachimangu shrine, Shibuya, Tokyo — Daderot, CC0 1.0 (Public Domain), via Wikimedia Commons
この記事の情報は2026年8月14日時点のものです。行事の日時・内容は変更される場合があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。


