多度大社「上げ馬神事」2026|午年に見る700年の神事と、変わりゆく伝統
2026年5月4日・5日、三重県桑名市の多度大社で「上げ馬神事」が斎行された。陣笠・裃姿の少年騎手が祭馬に跨り、急坂を駆け上がって五穀豊穣と国家安寧を祈る奉納神事だ。初日の5月4日は6頭が挑み、5頭が坂を上りきった。
今年は午年。馬を神の使い(神馬)として奉るこの神事にとって、干支が「馬」を指す年は12年に一度の巡り合わせだ。
多度大社と上げ馬神事の由来
多度大社は、天津彦根命(あまつひこねのみこと)と天目一箇命(あめのまひとつのみこと)を主祭神とする、伊勢・尾張・近江にまたがる信仰圏をもつ古社だ。正式名称は「多度大社」で、「お多度さん」の呼び名でも親しまれてきた。
上げ馬神事は、南北朝時代の暦応年間(1338〜1341年)、このあたりを分領した武家の中から始まったとされる。江戸時代には徳川四天王のひとり・本多忠勝が1601年に再興に尽力し、現在まで継続されている。1978年には三重県の無形民俗文化財に指定された。
神事の核心は、境内に設けられた急斜面——「上げ坂」を騎手と馬が一気に駆け上がること。坂を上りきった回数が多いほど、その年の農作は豊かになると言い伝えられてきた。
2024年からの変更点 — 動物愛護と神事の継続
2023年の神事で1頭が骨折し殺処分されたことを機に、「動物虐待ではないか」という批判がSNSを中心に広がった。
多度大社はこれを受けて、2024年から神事の形式を変更した。
- 坂の上部にあった約2メートルの壁を撤去
- 坂の傾斜を緩和
- 鞭(むち)の使用を廃止
2024年以降、馬への負担は明らかに軽減された。2026年の初日(5月4日)は6頭が挑み、5頭が成功。落馬が1件あったが騎手・馬ともに大事なかった。
多度大社は「神事を守るため、動物愛護の観点も重視し、今後も時代に合わせて変えていきたい」としている。形を変えながら700年続く神事——それ自体がひとつの答えかもしれない。
多度祭の日程
| 日時 | 内容 |
|---|---|
| 5月4日 8:00 | 例祭前日祭 |
| 5月4日 10:00 | 騎射馬乗込・上げ馬神事(陣笠裃姿) |
| 5月5日 6:00 | 御例祭(年中最重要祭) |
| 5月5日 | 上げ馬神事(花笠武者姿)・流鏑馬神事 |
本祭は5月5日の御例祭。騎手の衣装も日替わりで、4日が陣笠裃(じんがさかみしも)姿、5日が花笠武者(はながさむしゃ)姿となる。
御朱印 — 午年限定と馬神の証
多度大社の御朱印は「馬」との縁が深い。
通常御朱印
拝殿前の参集院にて受付。初穂料は書き置きタイプで300〜500円程度。受付時間は8:30〜17:00。
切り絵御朱印(午年限定・神馬訪い巡り編)
2026年の午年限定で神馬訪い巡り編の切り絵御朱印が頒布されている(初穂料1,500円、春編は3〜5月)。馬と神社の意匠を精緻な切り絵で表現した御朱印は、午年の記念品として格別の一品だ。
上げ馬神事の当日は参拝者が集中するため、御朱印の待ち時間が長くなることが多い。余裕を持ったスケジュールが必要だ。
アクセス
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 住所 | 三重県桑名市多度町多度1681 |
| 電話 | 0120-37-5381 |
| 養老鉄道 | 多度駅より徒歩約20分 |
| 車 | 東名阪自動車道 桑名ICより約15分 |
| 参拝時間 | 8:30〜17:00 |
| 公式サイト | tadotaisya.or.jp |
祭当日は周辺道路が大混雑する。公共交通機関(養老鉄道)の利用が強く推奨されている。
伝統とは、変わらないことではなく、続くことだ。上げ馬神事は2024年に形を変えた。それでも今年もまた、馬と騎手が坂を上った。次の午年は2038年。その日も、この神事は続いているだろうか。
画像: 多度大社本社(Wikimedia Commons / Ohaguro / CC BY-SA 3.0)
情報源: 多度大社 公式サイト / 名古屋テレビ(メ〜テレ) / 桑名市 多度祭 上げ馬神事


