伊達政宗が築いた城下町・仙台は、東北最大の御朱印スポットだ。慶長12年(1607年)、政宗が造営した大崎八幡宮は、東北唯一の国宝建造物として今も往時の黒漆と金の輝きを保ち、元日には「松焚祭(どんと祭)」の裸参り行列が境内を埋める。そのすぐ近くには、政宗の死後に建てられた仙台東照宮が静かな杜に佇み、江戸初期の豪華絢爛な権現造りで訪れる者を圧倒する。市街地の北西には政宗公自身を御神体として祀る青葉神社があり、御朱印に「独眼竜」の刻印が押されることもある。さらに足を延ばせば、陸奥国の一宮として古代から信仰を集める鹽竈神社が、松島湾を見下ろす高台に鎮座している。この記事では仙台エリアで御朱印がいただける神社10選を厳選し、御朱印の特徴・授与情報・参拝コースを紹介する。
1. 大崎八幡宮(仙台市青葉区八幡)

ご祭神: 応神天皇・仲哀天皇・神功皇后
慶長12年(1607年)、仙台藩祖・伊達政宗が奥州仕置の拠点整備の一環として現在地に遷座・造営した。本殿・拝殿・石の間をつなぐ権現造りの社殿は、黒漆塗りの外観に極彩色の彫刻と金箔を施した桃山文化の粋であり、東北地方唯一の国宝建造物として国から最高の評価を受けている。政宗はこの社を仙台城の守護社と位置づけ、藩の精神的な要として手厚く庇護した。毎年1月14日に行われる「松焚祭(どんと祭)」では、正月のしめ飾りを持った白装束の裸参り行列が長蛇の列をなし、東北最大の火祭りとして全国に知られる。境内のひょうたん池や長床の静かな佇まいとは好対照のこの熱気が、大崎八幡宮の二つの顔を象徴している。
- 御朱印の特徴: 「大崎八幡宮」の力強い墨書きに八幡大神の丸印と社紋の印。政宗造営の社にふさわしい格調と風格をたたえた一体
- 初穂料: 500円
- アクセス: 仙台駅前からループルバス「大崎八幡宮前」下車すぐ、または仙台駅から市バス15分「大崎八幡宮前」下車
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 9:00〜17:00 |
| 授与場所 | 社務所 |
| 書き置き/直書き | 直書き(混雑時は書き置き) |
| 限定御朱印 | あり(どんと祭・例大祭) |
2. 仙台東照宮(仙台市青葉区東照宮)

ご祭神: 徳川家康公
寛文元年(1661年)、仙台藩3代藩主・伊達綱宗が造営した東照宮。権現造りの本殿・唐門・随神門・石鳥居・燈籠など多くの建造物が国の重要文化財に指定されており、日光東照宮と同様の豪華な装飾彫刻が東北の杜の中に展開している。特に唐門は、白と金を基調とした繊細な透かし彫りが際立ち、寛文期の工芸技術の高さを今に伝える。仙台藩が幕府との良好な関係を示すために全力を注いだ造営事業であり、建立費用は現在の価値で数十億円に相当するとも推計されている。現在も境内の杜が深く鬱蒼としており、仙台の都市部にありながら静謐な聖域の空気をよく保っている。
- 御朱印の特徴: 「仙台東照宮」の重厚な墨書きに葵の御紋の印。徳川家との緊密な関係を示す格調ある仙台藩の遺産にふさわしい一体
- 初穂料: 500円
- アクセス: 仙山線「東照宮駅」から徒歩5分
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 9:00〜16:30 |
| 授与場所 | 社務所 |
| 書き置き/直書き | 直書き |
| 限定御朱印 | あり(葵祭・月次祭) |
3. 青葉神社(仙台市青葉区青葉町)
ご祭神: 伊達政宗公
明治7年(1874年)、仙台藩祖・伊達政宗を御祭神として創建された神社。政宗の命日である5月24日に近い例大祭(青葉まつり)は、仙台三大祭りのひとつとして知られ、山車行列・神輿渡御・政宗公の騎馬武者が市内を練り歩く壮観な祭典が繰り広げられる。神社は仙台城趾・青葉城を見下ろす高台に鎮座しており、境内から仙台市街の眺望が広がる。「独眼竜」の異名で知られる政宗の威容を表す御朱印は御朱印ファンに人気が高く、例大祭期間中の限定御朱印には特別な印が加えられることもある。仙台出身・仙台を訪れる人にとって一度は参拝したい「城下の神社」だ。
- 御朱印の特徴: 「青葉神社」の墨書きに政宗ゆかりの三引両(三筋の横線)の紋と「伊達」の印。政宗公への崇敬が込められた仙台を代表する一体
- 初穂料: 500円
- アクセス: 仙台駅前からループルバス「博物館・国際センター前」下車徒歩15分、または地下鉄東西線「国際センター駅」徒歩20分
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 9:00〜17:00 |
| 授与場所 | 社務所 |
| 書き置き/直書き | 直書き・書き置き両対応 |
| 限定御朱印 | あり(青葉まつり・例大祭) |
4. 鹽竈神社(宮城県塩竈市)

ご祭神: 鹽土老翁神(志波彦神宮)・武甕槌神・経津主神(鹽竈神社)
創建の年代は明らかでないが、「延喜式」(927年)に記される式内名神大社であり、陸奥国一宮として古代から東北全域の信仰を集めてきた。製塩と漁業の神・鹽土老翁神を祀る志波彦神社と、武神・武甕槌神・経津主神を祀る鹽竈神社が、同一の境内に並立する全国でも珍しい形態をとっている。伊達政宗をはじめとする歴代の仙台藩主が特に崇敬し、社殿の造営・修繕に多大な寄付を行った。境内の高台からは松島湾の絶景を望め、202段の石段(表参道)を登る体験そのものが一種の修行的な参拝として語り継がれている。桜の名所としても知られ、春には境内の染井吉野・山桜が一斉に開花する。
- 御朱印の特徴: 「鹽竈神社」と「志波彦神社」の2種の御朱印が授与される。陸奥国一宮の格式にふさわしい堂々とした墨書きに、古代製塩の地を象徴する印章。2社セットでの授与も人気
- 初穂料: 各500円
- アクセス: JR仙石線「本塩釜駅」から徒歩10分(表参道202段の石段を登る)
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 9:00〜17:00 |
| 授与場所 | 授与所 |
| 書き置き/直書き | 直書き |
| 限定御朱印 | あり(塩竈まつり・月次祭) |
5. 榴岡天満宮(仙台市宮城野区榴岡)
ご祭神: 菅原道真公
和銅5年(712年)創建と伝わる仙台市内最古の天満宮。慶長年間に伊達政宗が現在地に遷座し、仙台藩の崇敬を受けて隆盛した。境内はツツジ(榴岡の由来)と梅の名所として知られ、春には境内の梅林が香気を放ち、学問の神への合格祈願の参拝者が絶えない。仙台駅から徒歩圏内という抜群のアクセスにも恵まれており、旅行者が真っ先に訪れやすい神社のひとつ。宮城野区の旧市街に位置し、江戸時代から続く門前町の雰囲気を残す参道が独特の情緒をつくっている。近年は季節の花々をあしらった限定御朱印も授与され、御朱印コレクターから高い注目を集めている。
- 御朱印の特徴: 「榴岡天満宮」の端正な墨書きに梅の印と天満宮の判。学問の神らしい品格と、仙台藩最古の天満宮の矜持が漂う一体
- 初穂料: 500円
- アクセス: JR仙台駅から徒歩12分、地下鉄東西線「宮城野通駅」から徒歩5分
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 9:00〜17:00 |
| 授与場所 | 社務所 |
| 書き置き/直書き | 直書き・書き置き両対応 |
| 限定御朱印 | あり(梅まつり・天神祭・季節限定) |
6. 宮城縣護國神社(仙台市青葉区川内)
ご祭神: 明治維新以降の宮城県出身の戦没者約52,600柱
仙台城趾(青葉城)の城域内に鎮座する護国神社。宮城県出身の戦没英霊を合祀する社として、県内最大規模の護国神社だ。仙台城の本丸跡地に隣接しており、境内からは仙台市内を一望できる高台の絶景が広がる。石巻・気仙沼・女川をはじめとする東日本大震災の犠牲者への慰霊も行われており、東北人の鎮魂の場としての重みを持つ。桜の名所としても名高く、春の大崎八幡宮〜青葉山一帯の花見コースに組み込まれることが多い。軍服姿で参拝する遺族や、黙祷のため訪れる市民の姿が今も絶えない静謐な聖域だ。
- 御朱印の特徴: 「宮城縣護國神社」の大きな墨書きに護国神社特有の格調ある朱印。英霊への敬意を込めた参拝の証として、多くの参拝者が大切にしている一体
- 初穂料: 500円
- アクセス: ループルバス「仙台城跡」下車すぐ、または地下鉄東西線「国際センター駅」から徒歩25分(上り坂あり)
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 9:00〜16:30 |
| 授与場所 | 社務所 |
| 書き置き/直書き | 直書き |
| 限定御朱印 | あり(春季例大祭・秋季例大祭) |
7. 熊野那智神社(仙台市宮城野区小田原)
ご祭神: 伊弉諾尊・伊弉冉尊・速玉男命・事解男命
文亀元年(1501年)、和歌山の熊野那智大社から勧請して創建された、東北随一の熊野信仰の古社。仙台藩主・伊達氏の崇敬を受け、藩政期を通じて手厚く保護された。「那智の滝」を模した小さな滝(授与品の御守袋には那智の滝の絵柄が入る)が境内に設けられており、熊野信仰の縁起物として知られる「八咫烏(やたがらす)」の御守が人気を集める。近年はサッカー日本代表のエンブレム・八咫烏との関連から、スポーツ必勝祈願の参拝者も増加している。宮城野区の住宅街に静かに鎮まる境内は、都市部にありながら深い森の空気を保つ。
- 御朱印の特徴: 「熊野那智神社」の墨書きに八咫烏の印が入る、全国の熊野社の中でも際立って個性的な一体。カラフルな八咫烏の印が入る限定御朱印も話題
- 初穂料: 500円
- アクセス: 地下鉄東西線「宮城野通駅」から徒歩15分、またはJR仙台駅東口から徒歩25分
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 9:00〜17:00(要確認) |
| 授与場所 | 社務所 |
| 書き置き/直書き | 書き置き中心 |
| 限定御朱印 | あり(例大祭・月替わり) |
8. 愛宕神社(仙台市太白区向山)
ご祭神: 火産霊命(火の神)・埴山媛命・水波能売命
享禄年間(1528〜1532年)の創建と伝わる、仙台南部の愛宕山(標高76m)に鎮座する古社。火防の神として知られ、台所や防火の守護神への信仰が篤い。参道の長い石段を登り切った先に広がる境内からは、広瀬川と仙台市街の眺望が楽しめる。かつては仙台藩主・伊達氏の祈願所でもあった。仙台市内では「愛宕さん」として親しまれ、火の扱いに関わる職人・料理人・消防関係者の参拝が多い。境内の杜は四季折々の自然美を持ち、特に紅葉の季節には周辺の広瀬川河畔とあわせて散策する市民で賑わう。
- 御朱印の特徴: 「愛宕神社」の素朴で力強い墨書きに火防の印。仙台の人々の日常信仰に根ざした、温かみのある一体
- 初穂料: 500円
- アクセス: 地下鉄南北線「愛宕橋駅」から徒歩20分(坂道あり)、または市バス「向山神社前」下車すぐ
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 9:00〜16:30(要確認) |
| 授与場所 | 社務所 |
| 書き置き/直書き | 書き置き中心 |
| 限定御朱印 | あり(例大祭) |
9. 諏訪神社(仙台市青葉区上愛子)
ご祭神: 建御名方富命・八坂刀売命
仙台市西部の上愛子(かみあやし)地区に鎮座する諏訪神社。長野の諏訪大社を総本社とする諏訪信仰の社で、伊達政宗が岩出山城から仙台城へ移城する際にこの地に諏訪の神を勧請したと伝わる。参道を囲む老木と静かな山里の空気が、仙台市内の神社とは一線を画す山岳信仰の佇まいをつくり出している。近くを流れる広瀬川上流域の清流とともに、仙台西部の自然散策と組み合わせた参拝が人気。境内の樹齢数百年の杉の巨木は御神木として地元の崇敬を集めており、木霊の宿る聖域の雰囲気が色濃く残る。
- 御朱印の特徴: 「諏訪神社」の丁寧な墨書き。山里の古社らしい静謐さと、政宗ゆかりの勧請の歴史が凝縮された一体
- 初穂料: 500円(要確認)
- アクセス: JR仙山線「愛子駅」から徒歩15分
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 9:00〜16:00(要確認) |
| 授与場所 | 社務所 |
| 書き置き/直書き | 書き置き中心 |
| 限定御朱印 | あり(例大祭) |
10. 龍口八幡神社(仙台市若林区若林)
ご祭神: 応神天皇・神功皇后・比咩大神
仙台市若林区の旧若林城域に近い八幡神社。伊達政宗が築いた若林城(出丸)の鎮守社として機能し、仙台南東部の武家地を守護してきた。城下町仙台の東南部・若林を守る神社として、武運・家内安全・商売繁盛の御利益で知られる。周辺は若林城跡(現・宮城刑務所)に隣接する歴史ある地区で、藩政期の町割りの名残を感じさせる街並みが残る。観光客は少ないが、地元の旧家・商家の崇敬が篤く、例大祭には近隣住民が集う温かみある地域の祭礼が行われる。御朱印を通じて、観光名所では見えない仙台の城下町文化の奥行きに触れられる神社だ。
- 御朱印の特徴: 「龍口八幡神社」の端正な墨書きに八幡の朱印。若林の土地に根ざした素朴さと格式が同居する、地域信仰の温度が感じられる一体
- 初穂料: 500円(要確認)
- アクセス: 地下鉄東西線「荒井駅」から徒歩20分、またはJR仙台駅から市バス「若林小学校前」下車徒歩5分
授与情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 授与時間 | 9:00〜16:30(要確認) |
| 授与場所 | 社務所 |
| 書き置き/直書き | 書き置き中心 |
| 限定御朱印 | あり(例大祭) |
エリア別・効率的な御朱印巡りコース
青葉山・城下町コース(半日・3〜4社)
大崎八幡宮 → 仙台東照宮 → 青葉神社 → 宮城縣護國神社
ループルバスを使いながら仙台城趾エリアを回るコース。大崎八幡宮の国宝建造物を起点に、東照宮・青葉神社と政宗ゆかりの社を連続参拝できる。宮城縣護國神社では城趾からの仙台市街一望も楽しめる。全行程バス移動中心で体力的な負担が少ない。
仙台駅近郊コース(2〜3社)
榴岡天満宮 → 熊野那智神社 → (余力があれば)龍口八幡神社
仙台駅東口から徒歩・地下鉄でアクセスできる宮城野区・若林区のコース。新幹線利用者が到着後すぐに参拝できる利便性の高いルート。
塩竈・松島延長コース(1日)
鹽竈神社 → 松島観光 → 瑞巌寺(寺院)
JR仙石線で仙台から約30分で行ける塩竈市の鹽竈神社を起点に、日本三景・松島へと足を延ばすコース。御朱印と絶景を一日で楽しめる東北の黄金ルート。
仙山線コース(半日・自然散策)
仙台東照宮 → 仙山線乗車 → 諏訪神社(上愛子)
仙山線沿線を使って、都市の社と山里の古社を対比して楽しむコース。広瀬川上流域の自然と合わせた参拝が心地よい。
御朱印巡りの心得
仙台参拝のポイント
- 大崎八幡宮はどんと祭(1月14日)を避けるか狙うか: 例年10万人以上が参集するどんと祭当日は行列必至だが、松焚神事と裸参りは東北ならではの圧巻の光景。授与時間が深夜まで延長されるため限定御朱印は入手できる
- 鹽竈神社は表参道の202段の石段に注意: 高低差があり足元が滑りやすい日もある。体力に不安がある場合は東参道(なだらかな坂道)を利用すること
- 青葉神社の青葉まつり(5月)は早めに: 5月の例大祭期間中は限定御朱印が授与されるが、数量限定。早い時間帯の参拝を推奨
- ループルバスを活用: 仙台市の観光周遊バス「るーぷる仙台」は主要神社(大崎八幡宮・仙台城趾・護国神社)をカバー。一日乗車券(650円)でコスパよく回れる
仙台ならではの視点
仙台の御朱印巡りの最大の特徴は「伊達政宗のまち」としての統一した歴史文脈だ。大崎八幡宮は政宗が造営し、鹽竈神社は政宗が崇敬し、青葉神社は政宗自身を祀る。御朱印を手にしながら「この神社と政宗の関係は何か」と問い続けることが、仙台の御朱印巡りをただのコレクション以上の文化体験にする鍵だ。また、東日本大震災からの復興を経た東北の地で、多くの神社が「鎮魂と再生」の場としての役割を担っていることも、仙台の参拝体験に独特の重みを加えている。
Photo credits: All images are from Wikimedia Commons under Creative Commons licenses.
大崎八幡宮 by Caveman2, Public Domain, Wikimedia Commons
仙台東照宮唐門・本殿 by Akaniji, CC BY-SA 3.0, Wikimedia Commons
鹽竈神社楼門 by nnh, Public Domain, Wikimedia Commons


